● ベンチャーソフト ●
原作松本零士でなければならない企業がここにあります。株式会社ベンチャーソフトです。
同社は2000年頃から、松本零士氏と共に宇宙戦艦ヤマトの新作を製作する準備をすすめていました。2002年に入ると、それは「新・宇宙戦艦ヤマト」として製作発表される段階まで来ました。当然のことながらこの新作の著作権表記は、松本零士/ベンチャーソフトであり、原作松本零士であり、東北新社や第三者が名を連ねる事はありませんでした。
そもそもアニメーション宇宙戦艦ヤマトを題材にした新作を作る権利は、著作権者である株式会社東北新社にあります。
ところが、この「新・宇宙戦艦ヤマト」製作に、東北新社の承諾があったとの事実を裏付ける証拠は、現在でも存在していないのです。あるのは、「東北新社と松本零士氏は宇宙戦艦ヤマトの新作を製作する約束をしている」との事実だけなのです。
これはもちろん、東北新社と松本氏間との約束であり、東北新社とベンチャーソフトの約束ではありません。
著作権保持者でもないのに勝手に新作を作る・・・。極めて異常な事態です。
この件について東北新社は私の取材に、『そのうち(ベンチャーソフトから)話しが有ると思っていました。』と異常な返答をしたのです。これは前項の「松本零士さんは著作権者だと思っていた。」とのなんともミステリアスなコメント同様、自社の財産(著作権)について理解していない、なんとも情けない体質ではないでしょうか?ただ私に対するコメントは、株主でもない一般人のクレーマーに対する、その場しのぎの非公式コメントである可能性のほうが高いでしょうが。
そんな無関心を装う企業の助けもあって、松本氏とベンチャーソフトは着々と新作製作に向けて動いていました。またその行動の裏付けとなるのは、松本零士氏が宇宙戦艦ヤマトの著作者であると、ベンチャーソフトが信じていたからでしょうし、そうでなければならなかったはずです。
宇宙戦艦ヤマトで一儲けしたい方々は、松本・西崎両氏の裁判は、どうしても勝たなくてはならなかったのです。
2002年3月25日、運命の判決が下りました。
この判決の妥当性は、当時の世論が証明していました。控訴したとはいへ、松本氏の逆転勝利は完全に「不可能」であることを、多くの関係者は理解しました。
なにせ、裁判で松本氏側についた関係者は、西崎氏と非常に仲が悪い方か、松本氏と利益関係にある方のみであり、宇宙戦艦ヤマトが製作された当時を知る中立的な関係者は、松本氏の無茶な行動を知っていました。
そしてベンチャーソフトは今までの「新・宇宙戦艦ヤマト」から、「大ヤマト零号」と作品の名前を変え、ご丁寧に「この作品は宇宙戦艦ヤマトとは関係ありません」とまで但し書きをつける必要が有るまでに、方針を転換せざるをえませんでした。
しかし、今まで無関心を装ってきた肝心の東北新社は、この判決後も無関心を装い続けたのです。表面上は。
一審判決後にも公式なコメントを出さない東北新社は、表面上は無関心でしたが、実は少しずつ行動を起こしていました。原作表記・コピーライト表記の適正化です。
マスコミでの宇宙戦艦ヤマト映像シーン、今までの三者表記のコピーライトが “(C)東北新社”となり、“原作松本零士”の一文も少なくなってきました。
また、「西崎義展」を排除し三者表記の一翼を担った株式会社バンダイビジュアルは、自社のゲームソフト公式ホームページで(現在はアドレスが変更になっています)、天と地のような表示転換をやってのけました。(証拠画像)(元ページアーカイブ)
正直、控訴審で勝つ自信が有れば、堂々と今までの表記をすれば良いのです。
関係企業にとって、今までやってきたことは何だったのでしょうか?「結果として法的におかしい事だったから変えた。」で済ますのでしょうか?
もっとしっかりと足場を固めていただきたいものです。
ところで宇宙戦艦ヤマトの新作を作れなくなったベンチャーソフトは、今はどうしているのでしょか?
運良く、大ヤマトをモチーフにした版権遊戯物が好評のようです。しかし、宇宙戦艦ヤマトとは関係ないと言っておきながら、その遊戯物を使うと宇宙戦艦ヤマトに関係有るものが存在し、「宇宙戦艦ヤマトと関係有る」と誤解を与えるようです。
結局は宇宙戦艦ヤマトの亡霊を追い続けているのでしょうか?