「西崎・松本両氏裁判(松本氏控訴審)で、松本氏が有利になる資料等の提出により、控訴審判決を待たずに西崎氏側から和解の提案があった。」って本当?
 
 結論から言いましょう。そんなこと当事者でないと分かりません。
 どこの誰とも分からない匿名書き込みにおいて、表題のような意味合いの文面が(ほぼ同じ内容なので、同じ人物か、同じ情報源と思われます。)一時期出回りました。
 多分、一般のファンでは知りえない情報を、あたかも“これが信実である”といつもの策略の手法として持ち出したのでしょう。
 
 しかし、前提条件は別として、西崎サイドから和解を持ちかけた可能性は十分に考えられます。
 そもそもこの裁判は松本氏側からのものであり、西崎プロデューサー自身は松本氏を排除しようとか、悪魔だとか、私怨を持っていたわけではありません。それどころか、新作には松本氏も協力して欲しいと1983年以降一貫して言い続けていました。
 また、裁判を終結しない限り、新作のめども立たないことが分かっていたので、西崎サイドとしては早く終結を願っていたと推測も出来ます。なにより、裁判が宇宙戦艦ヤマトファンに与える影響を、西崎プロデューサーは悲しく思っていたはずです。
 よって「西崎側から和解の提案があった」としても、なんら不思議ではなく、最良の策を講じた結果といえます。
 
 
 では民事裁判とはそもそもどのようなものでしょうか?
 民事と刑事は異なります。民事は、紛争が発生し、当事者間で解決する事が困難になった場合最後には、当事者の双方または一方が相手方に対して民事裁判を起こして、その紛争の解決を裁判所に求めるものであり、基本は『当事者間での話し合いによる解決が望ましい。』とされるものです。
 ですので、当事者間双方の和解(お互いが歩み寄ること)によって解決したこの裁判は、最後の手段に持ち込まれながらも、最良の結末をもって終結したのです。
 
 このような民事の意味合いと、西崎プロデューサーの松本氏に対する想いを考慮にいれれば、表題のような書き込みをする人物の思惑は明白でしょう。
 
西崎氏は裁判に勝てないと分かった為に、松本氏に和解を申し出た。
 
 でもおかしいですよね、この考え。そもそも一審では松本氏の完全敗訴でした。それを覆すには、相当たる証拠が必要です。刑事事件の、新たな証拠品や、目撃者とは違うのです。元から裁判に勝訴できるだけの証拠資料があるなら(一説によると、松本氏側は「武士の情け」で決定的証拠を出さなかったらしい。)、一審から提出すれば良い事ですし、一審の判決文は極めて妥当なものと、Web上の裁判研究では傾向がなされています。(裁判官の裁量ミスではない。)
 松本氏が勝てそうだとか、負けそうだとか、そんなことは当事者でしか分からない事を事実かのように書き連ねて楽しんでいる方がいますが、その後の和解書を読んでも、「松本氏が有利になった時点で、西崎側から和解の提案があった。」などとする事実は、どうやっても導き出されません。
 和解書や、和解の項に書いたように、和解書の内容は西崎プロデューサーに圧倒的有利です。控訴審に逆転勝訴する人間が、自分に不利な和解を結ぶでしょうか?そんな事、一般的に考えられません。
 また、和解後の松本氏のコメントを見ても、“作家”としての権利を保った事を述べていましたが、当該原告者としての訴訟理由からすれば、14万8千光年以上にかけ離れた「妥協コメント」でした。
 
 こうした事から考えると、私が思うに表題のような意見を書き連ねる方の心理は、「どうせ当事者にしか分からない事だから、松本さんがこのまま不利になるのはしゃくなので、偽情報を流しちまえ!」だと思います。
 私にだって、このような嘘か本当か分からない情報は書けます。
 
松本氏は、控訴審でも西崎プロデューサーに絶対に勝てない!
 
 また一部にある“和解により一審判決は「無かったもの」になりました”とする意見にも一言。
 
当該一審判決の全文と事実は、最高裁判所のホームページから観閲できますよ!
 
過去の判例は、記録として残されています。

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